20世紀社会主義の挫折とアメリカ型資本主義の終焉
−左翼再構築の視座を求めて−

寺岡 衛著・江藤 正修編 (2010年4月 つげ書房新社刊 1900円・税別)

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■マルクス主義再検討・その革命論の再構築の視座を提供する意欲作!

 2006年に同時代社から刊行した「戦後左翼はなぜ解体したのか」に続く、左翼再構築のための歴史的総括書の第二段。
 前作は、主として50年間の日本におけるとトロッキズム運動の過程を、戦後史・戦後労働運動史の過程と重ね合わせることで、どのように見直すかを主要なテーマとしており、ここでは左翼運動の前提になっている、マルクス主義の再検討の必要性については、簡単に触れるに留まった。
 第二段である本作は、このマルクス主義の再検討に具体的に踏み込み、それを20世紀社会主義運動の敗北の歴史の具体的な総括を通じて行おうと試みたものである。この意味で本作は、挫折したマルクス主義革命論(資本主義から社会主義への移行論)を歴史的総括と現段階における世界資本主義の現状の把握を通じて、再構築しようとする意欲作である。(すなが けんぞう)


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 もくじ:

序章:戦後民主主義の国際的考察から明らかになるもの⇒全文読めます

T 今日の世界金融危機をどう見るか

後期資本主義の上昇と衰退 衰退と崩壊−1929年恐慌の総括を手掛かりとして−

(1)現在の世界金融危機をどう見るか
(2)1929年恐慌とは何であったのか
(3)金融危機はどのように推移するのか
(4)従来型統合の破綻と社会的矛盾の顕在化
(5)対抗勢力についての歴史的考察
(6)今日の主体の性格を考える
(7)トロツキーの永久革命論の再検討

戦間期の政治と経済、今日の危機の源流−前期資本主義の没落と上昇する後期資本主義
−前期資本主義の没落と上昇する後期資本主義−

はじめに
(1)戦間期総括のカギ ロシア革命の成立とヨーロッパ革命の敗北
(2)ヨーロッパ危機とアメリカ型後期資本主義の登場
(3)前期資本主義の危機突破の反動的形態=ファシズム
(4)戦間期・戦後期におけるヨーロッパ統合と後期資本主義
(5)アメリカ型後期資本主義の特徴と危機の始まり

U 20世紀社会主義の総括

ソ連邦の80年と反対派の挫折−20世紀「社会主義」崩壊の源流

(1)ロシア革命の歴史的性格と構造的矛盾
(2)なぜ、ネップへの転換を余儀なくされたのか
(3)レーニンとトロツキーが直面した矛盾

ソ連・東欧の解体と「反官僚政治革命論」

(1)トロツキーの政治革命論
(2)東欧の市民的登場の歴史的基盤
(3)市民社会の成果と社会主義

V 21世紀左翼の構築のために

国家主導の社会主義論から市民主導の社会主義論へ

(1)トロツキー(レーニン・ボルシェビズム)の主要テーゼの全面見直し
(2)ロシア革命史観の顕在化−戦後日本共産党の危機と新たな対抗思想の模索

新左翼の源流、1968年をどう考えるのか

(1)ヨーロッパ新左翼の場合
(2)日本の新左翼、とくに全共闘の場合

新たな変革主体登場の可能性−中流社会から格差社会への転換が意味するもの−

(1)後期資本主義の破綻と格差社会転換への歴史的意味
(2)今日の時代の歴史的、構造的転換とその特徴
(3)戦後支配思想の分解と新しい変革主体

後書き