【新刊紹介】寺岡衛著・江藤正修編

『戦後左翼はなぜ解体したのか―変革主体再生への展望を探る』

(インターナショナル第161号:2005年12月)


 日本の新・旧左翼は戦後60年を経て、ほぼ終焉した。それにはスターリン主義の否定的要素や1990年を前後するソ連邦・東欧諸国「社会主義」の崩壊が直接的契機となってはいるが、そのような外在的要因だけで終焉したのではない。
 戦前から戦後を通底している政治的、経済的、社会的一貫性から“戦後革新”が目を閉じてきたこと。すなわち神聖天皇制と象徴天皇制との歴史的連続性に無自覚であったことが、今日の衰退の主要な要因の一つとなったのである。かつて一世を風びした“戦後革新”という国民的抵抗戦線のかくも無残な解体は、それを担った新・旧左翼の側に主体的責任があるのであって、他人に責任を転嫁することはできない。
 本書では日本新左翼の一分派である「第四インターナショナル日本支部」の約40年に亘る実践の敗北を総括の梃子としながら、戦後左翼運動に内在する問題点を抉り出そうとする。また、そのような総括作業を通じて浮かび上がってくる21世紀の変革の主軸である社会革命の可能性を、“小泉改革”とクロスさせながら解き明かそうとする。

同時代社刊 06年1月10日ごろ発売 定価:1900円+税

【目次】

【序章】転換期である今日をどう捉えるのか

【第1部】戦後国家と社会の60年を振り返る

(1章:自民党―その成立基盤の解体と戦後革新の解体要因/2章:戦後システムの発展、衰退、分解と連合の無力化/3章:今日の地殻変動と象徴天皇制の危機/4章:アジア的孤立とアジア規模の変革主体/5章:戦後国家の再編とナショナリズムの系譜)

【第2部】第4インターナショナル日本支部の運動論的総括(主体的総括その1)

(1章:50年代末の日本共産党の綱領論争/2章:第4インター(日本支部準備会)の結成へ/3章:第4インター(日本支部準備会)の解体と加入戦術/4章:加入戦術の終焉と第2期第4インターの再建へ/5章:急進派労働運動―全労活から『労働情報』へ)

【第3部】高野派革同、構改派、協会派、新左翼・急進主義総括(主体的総括その2)

(1章:60年代〜70年代総括の前提/2章:高野派の可変的流動性と複合的(永続的)発展の可否/3章:構造改革派の破綻と没落はなぜ生じたのか/4章:協会派の社会党制圧の要因/5章:新左翼・急進派の総括)

【第4部】清水慎三氏のトータル革命と現代における社会革命

【終章】戦後日本における変革主体の解体と再生への展望

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2:【続刊】の紹介

   [資料集]「戦後左翼はなぜ解体したのか」を2月初旬に刊行します。

 1950年代末から1990年代にかけての新左翼を含む戦後左翼の発展、衰退の歴史とその総括を、寺岡衛著「戦後左翼はなぜ解体したのか」を媒介にして、「時代の証言」として追うインタビュー集。

【内容】

▼六〇年安保闘争の限界と全国反戦の結成  高見圭司(元社会党青少年局青対部長)

▼『労働情報』を語る その成功と直面した壁  樋口篤三(元「労働情報」編集人)

▼総括作業の重要さを提起             小寺山康雄(元「社会主義と労働運動」編集長)

▼創成期の福島トロツキスト運動         山田邦夫、清野和彦

▼寺岡総括を叩き台に、討論よ起これ!    小島昌光

 同時代社刊:予価1200円+税


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