【速報】●JR採用差別事件で「解決案」

民主党が4党の合意を了承

(インターナショナル第194号:2010年3月号掲載)


 民主党の役員会は3月1日、連立与党の社民、国民新両党と公明党とで合意した「JR不採用問題」の解決案を正式に了承した。
 この「解決案」は去る2月23日、連立与党3党と公明党の担当者が集まり、@解決金として一世帯あたり約1600万円、A解雇で消滅した期間の年金相当分として約1300万円など、合計で約270億円を組合員側に支払うことを骨子とする内容で合意したもので、他にも、国労の闘争団員らが中心となって争議中の生活基盤を確保するために設立した生産共同組合など18の事業体に各1億円の支援金を提供し、現在55歳以下の組合員約230名の雇用をJR各社に要請することなども盛り込まれている。
 解決案の対象となるJR不採用者(世帯)は約910世帯だが、これまでの訴訟では「所属労組による採用差別があった」として旧国鉄の債権・債務を引き継いだ鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄建・運輸機構)に賠償を命じた東京高裁判決(09年3月)がある一方で、国鉄改革法や時効(3年)を理由に採用差別とその責任を認めなかった判決もあり、いずれも双方が控訴をしたり最高裁に上告して係争中である。
 与党3三党と公明党が合意した23日当日は、それぞれの担当者が各党に持ち帰って正式に承認し、これに基づく政府案で鉄建・運輸機構と最終的な具体策の調整に入ることになるようだが、最大与党の民主党が党の正式な機関で「解決案」を了承したことで、事態が大きく動き出す可能性が強くなった。

 国鉄の分割・民営化が強行された1987年から23年もの時間が経過し、争議中の組合員の高齢化もすすみ、今回の解決案はラストチャンスと言って良いだろう。
 たしかに、三井・三池闘争を超える戦後最大・最長の争議と言われた厳しい闘いの解決案としては、今回の内容は決して十分なものとは言えないかもしれない。しかも国鉄の分割・民営化の攻撃が、総評・社会党ブッロクの解体を意図した「国家的不当労働行為」であったことは明々白々であるにもかかわらず、この「国家による犯罪」を断罪する目的も達しえたとは言いがたい。しかし23年におよぶ国鉄闘争は、「国家による犯罪」に遂に屈しなかったし、争議主体が瓦解することもなかったのであり、まさにその結果として今回の解決案が示されることになったのも疑いない事実である。
 もちろん、争議はまだ継続中である。それでも国鉄闘争は、闘争団員の半生をかけた闘いに一定の決着をつけるべき局面を迎えつつある。

(Q)


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